世界最悪の汚染度、インドの水道事情

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世界最悪の汚染度、インドの水道事情
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世界には約60億~70億もの人々が暮らしており、そのうちの約5億人は水を満足に飲むことができない状況にあるといわれています。 さらに15億人は、汚染された水などによって健康被害を受けており、20億人は水分を取るのに十分な環境にありません。 つまり、世界の人口の半分以上の人が水不足、もしくは水に関する問題を抱えているということになるのです。世界的に有名なガンジス川を有するインドも、じつは深刻な水問題に直面しているようです。今回はそんなインドの水道事情に迫っていきましょう。

汚染が深刻なインドの水道水

汚染が深刻なインドの水道水
インドの都市部では人口増加にともない、一日に約400億リットルもの汚水が排出されており、大きな社会問題となっています。都市化する過程で下水処理が遅れ、汚水が未処理のまま水源に流されていることが多く、その汚染された河川や地下水を水源として多くの人が生活しているため、水質汚染が人々の健康に大きな影響を及ぼしているのです。

水道水が使えるのは1日数時間!?

水道水が使えるのは1日数時間
インドの水事情はきわめて悪く、上水道は1日に数時間程度しか供給されない地域も少なくありません。
多くの家庭ではタンクを設けて水をため、必要な時に利用しています。場所によっては水道管が破損していたり、老朽化しているために汚染されていることがありますし、そもそも水をためるタンクが汚染されていたりして、蛇口から出る水も安全でないことは珍しくありません。
地域によっては、水道管と下水管が併走している場所で、どちらの管も破損していることが原因で、下水が水道水に混入していることさえ起きています。数年前に、首都・ニューデリーの水道局が各家庭の蛇口からの水道水をチェックした結果、約5軒に1軒の割合でバクテリアが検出されたというデータもあるほど。こうした汚染された水道水により、コレラや腸チフスなどが流行することもけっして珍しくない状況にあるのです。

“水ATM”が救世主になる日は…

“水ATM”が救世主になる日は…

水不足が慢性的な課題となっているインドの首都ニューデリーでは、2013年からカードを使って水を引き出すことができる「水ATM」が次々に設置され、当時話題を集めました。水ATMは円筒形のコンクリート構造で、太陽光発電で動くようになっています。地下水を各地域の浄水プラントで処理、それをこの水ATMを通じて供給するという仕組み。利用者はチャージ式のICカードを使って水を受け取ります。1セントにつき最大4リットルまで給水することができ、インドの物価を考慮に入れても非常に安価となっています。

発案したのは社会的企業(ソーシャルエンタープライズ)のサルバジャル。サルバジャルは「すべての人に水を」という意味だそう。2013年に試験的にプロジェクトを開始して以来、デリー北西部の貧困地区に15台の水ATMを設置。当初は反応が少なかったものの、今では1000軒あまりの家庭がサービスを利用しているそうで、他の州でも徐々に利用者が増えているといいます。サルバジャルのプロジェクトを統括するアミット・ミシュラ氏によれば、水を介した感染症が減少する効果もあったといいます。

【特集】なぜインドの水道インフラは崩壊したか
十数億人以上の人が生活するインドはいま、慢性的な水不足に悩んでいます。ガンジス川をはじめとして水源には恵まれた国ですが、浄水設備の整備が遅れているためにすべての人が安全できれいな水を利用できていないのが現状です。日本も、こうしたインドの水道インフラの改善のため支援プロジェクトを現地で展開していますが...

水に対する意識改革が課題に

水に対する意識改革が課題に

しかし、衛生的で安全な水にお金を払うことで結果的に医療費を節約できるという発想は、いまだ国民に十分に浸透しているとは言えないようです。インドでは、水道料金が基本的にタダという地域が多く、水道料金を払う習慣のない人が多くいるからです。

目下の最大の課題は、水は無料が当たり前と考えている人々の意識を変えることにあります。意識改革には時間がかかること必至ですが、それでも水ATMの設置を推進するサルバジャルでは住民との根気強い対話を続けており、このプロジェクトが慢性化するインド水不足問題の解決策のひとつとなる可能性を秘めているといえそうです。

おわりに

いま、世界最悪といわれる水質汚染にさらされているのが世界遺産タージマハルで有名なのがアグラです。
近年、インドの水不足の問題を改善するために300㎞東方にあるガンジス川からアグラまで水を引き、アグラ市内の水環境の改善を行おうという計画が進行中です。今後、その用水路でアグラ市内まで水を運んでくる計画が実現すれば、安全かつ安定的な上水供給が可能になると期待されていますが、現地では利権争いも発生し、とん挫している現実も。

さらに、今年2月、ニューデリーでは近郊で発生したカースト集団による暴動で、人口約1700万人を抱える首都に水を供給していた水路の一部が破壊され、数千世帯への水道水供給が停止する事態も発生しました。暴動は、州政府が要求を受け入れることで沈静化に向かったものの、治安回復の遅れで水路復旧は進まず、現在も浄水場の稼働率は5割程度にとどまっているとも言われています。
水不足と健康被害に苦しむインド国民のために、プロジェクトに期待するとともに、一刻も早く解決策が出されることを願うばかりです。

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