水インフラが急務と言われるブラジル・サンパウロの水道事情

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水インフラが急務と言われるブラジル・サンパウロの水道事情
この記事の所要時間: 59

リオ五輪・パラリンピックで湧くブラジル。現地へ応援に行く人に、出国前にぜひ確認しておいてほしいのが同国の水道事情です。ブラジルは年間平均降水量が1782mmと、世界最大の水資源量(8233km3/年)を有する国ですが、実は水インフラが未整備で水資源使用率は0.7%と世界最低クラス。さすがに大都市圏であるサンパウロは問題ないと思いたいところですが、実情を見ていきましょう。

水不足で水道を使えないレベルのサンパウロ

水不足で水道を使えないレベルのサンパウロ

サンパウロといえばブラジル最大の都市。約1100万人が住む大都市で何日も水のない状態が起きたらどうなってしまうのでしょうか? そんなありえない状況が、サンパウロには現実に迫りつつあるといわれています。一部地域ではすでに水道が何日も止まることがあり、当局では1週間のうち2日しか水道を開けないという制限すら検討中だとか。サンパウロ水道局のある高官の話として、本当に水が足りないので住人たちに避難勧告が出される可能性もあるとの噂も出ているほどです。

貯水池の水が枯渇の危機に

貯水池の水が枯渇の危機に

サンパウロ都市圏に住む約 1100万人は、カンタレイラ貯水池(サンパウロ州)の水を利用しています。 同貯水池は、州内の5河川から取水する世界最大規模の複合型貯水池 (保有水量約9.9億m3、1973年完成)ですが、2013年2月に過去最低値となる 貯水率19%を記録しました。州知事は年間平均で20%の 節水を達成した家庭に対し、水道料金を30%割り引く政策を導入。 しかし事態は深刻で、すでに周辺のサンペドロ市などでは計画断水が実施されているそう。現在も天候によっては枯渇する恐れがあり、約1100万人が水道を使えないという世界でもまれな非常事態になることが危惧されてます。サンパウロ州では過去数年間、 大雨被害に直面していたことを考えると皮肉な話ですね。

水資源の枯渇問題

水資源の枯渇問題
サンパウロを有するブラジルは世界最大級の水力発電大国で、総発電量の87%を水力に頼っています。イグアスの滝の近くに建設されたイタイプダムは貯水量290億tで世界第2位の発電量(1400万kW)を誇り、同国の電気供給量の約20%を占めている。しかし、その発電用水も枯渇の危機に直面しています。

さらに世界最大の河川であるアマゾン川の水位も、カンタレイラ貯水池同様、過去40年間で最低レベルに達し枯渇の危機に瀕しています。その原因は、地球温暖化の影響や世界最大の森林地帯であるアマゾン地域での大規模な森林伐採(過去40年間で森林面積の20%が消失)による保水力の大幅な低下、地下水の過剰取水などが挙げられてます。このような水資源の状態で、リオ五輪・パラリンピックは本当に無事迎えられるのか懸念されるところです。

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飲み水はミネラルウォーターが一般的で安心

飲み水はミネラルウォーターが一般的で安心
サンパウロの水道水では基本的に軟水が供給されていますが、これまで見てきたように水不足に困窮していることもあり、飲用水や料理用には、ミネラルウォーターを購入して使っている家庭が一般的。飲料水を確保するための選択肢は主に 3 つあります。

(1)タンク(20L 入り)を専門店から配達してもらうケース

タンク(20L 入り)を専門店から配達してもらうケース
給水器を設置するスペースが必要ですが、冷却機能の付いている物を選べば、いつでも冷たい水が飲めるので便利です。

(2)浄水器を設置するケース

浄水器を設置するケース
手軽なのは蛇口に装着する小型のタイプだそう。ホームセンター等で購入し、自分で取り付けます。ただ、フィルターは数か月ごとに交換する必要があります。

(3)ペットボトルを購入するケース

ペットボトルを購入するケース
短期滞在や単身での駐在者や少人数の家庭にはやはりこれが一番便利。ちなみにミネラルウォーターは、サンパウロをはじめどの都市でもスーパーや売店など街中で手軽に購入することができます。おもに炭酸入りの水と普通の水の2種類が販売されていて、com gasやgasosaが炭酸入りで、sem gasが炭酸なしのミネラルウォーターです。ちなみにお値段は日本とほぼ変わらないようです。ブラジルは日中の日差しが強くて熱中症になる危険が高いので、観光する際は定期的に水分補給をするように心がけましょう。

水道水を飲まないようにしていても、レストランで水道水が出されていたり、ジュースの氷が水道水で作られていたりと、知らない間に水道水を口にしてしまう可能性はあるので、外食をする際には十分注意する必要があります。

おわりに

ブラジルにはアマゾン川など、世界の淡水の8分の1が集中しており、本来は水の豊かな国です。にもかかわらず、近隣の環境汚染、森林伐採、そしてここ数年の干ばつによる影響で、サンパウロの公共水道システムが今枯れつつあります。原因はこれらにとどまらず、サンパウロでは、配管などの老朽化に伴う水漏れが多く、計量器具の不具合や盗水などにより料金が徴収できない水が発生している点も問題視されています。せっかく費用をかけて水道水を作っても、消費者に届く前に失われてしまうという状況が水不足に拍車をかけているのです。生きていくうえで必要不可欠な水の確保のために、今後、南米の豊かな水資源を有効に活用できる設備の整備を願うばかりです。

サンパウロ市データ

人口 11,150,249人(2008年)
面積 1522.989km²
標高 約760m

外部リンク
サンパウロ市公式サイト
地図

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